コラム

2025.10.01
日本から和室がなくなる

和室の凄いところは畳の大きさは概ね三尺×六尺、あるいは三尺一寸五分×六尺三寸という具合に地域で決まっています。また「6畳」や「8畳」という時には畳の敷き詰め方は概ね決まりがあり、平面のプロポーションも決まっています。なので、畳の数で誰もが部屋の広さを想像できるし、4畳半と6畳と8畳と10畳の区分けができました。そしてこの平面図を見れば大工はどこに柱が必要か簡単に決められ、それが決まればもう棟梁の加工の仕事に移れるし、畳屋や建具屋、瓦屋などの他の専門職への数量を伴う発注も可能になります。畳二枚で一間四方、一坪になるのですが、木造軸組、畳、建具、瓦は、この一間四方にきちんと対応して納まる寸法体系でできています。だからこそ「6畳の隣が8畳で、その隣に6畳を・・・」というだけで、皆自分の仕事の量と割付が読めるので、施主側の描く簡単な平面図だけで高度な分業が可能になるわけです。設計者はいらないのです。この世界に誇れる「和室」の特質は、畳割と分業の優れたシステムとモデュロールの持つ凄さだけではありません、人々の振る舞いや五感と空間の分かち難い関係性
自然と人工物の絶妙な対象と融合、独自のさまざまな意匠等々枚挙に暇がありません。
それなのにですよ、現代日本の、少なくても住宅からは、「和室」が急速に消えつつあります。
 既存住宅(ストック)についてであれ、新築住宅(フロー)についてであれ、現代の日本の住宅においてどの程度和室が存在するかを正確に示すデータは存在しません。
 新築戸建住宅については、かつて規模の大きな調査がありました。旧住宅金融公庫が自らの融資案件数の1千~1万件を対象に全国で実施した無作為サンプリング調査があります。その結果は毎年「住宅主要データ」として公表されていました。そして、この調査には和室数に関する項目が含まれていました。しかし、残念ながら昭和末期から始まったこの調査は1996年(H8)年度で終了しています。いまとなっては30年ほど前のデータですが少し前の日本の住宅における和室はどうだったかを知るために紐解きますと、調査の始まった1987年(S62)年度は、和室のない新築戸建住宅はわずか1.2%
和室が2室ある住宅が最も多く35.4%、ついで3室ある住宅が23.1%であるから、この時
点で「和室は消えつつある」とは決して言えないのです。その後1996年(H8)年度までのデータを見てみると、年々和室数は減少しているものの、1996年度においても和室のないものは5.4%に過ぎず、2室以上の和室のある住宅が過半に達しています。また、某建設会社の着工した戸建て住宅について単世帯、2階建て全数(年間約6.000~9.000棟)の間取りだけを対象として行った調査の結果報告で、2018年度~2022年度の5年間の変化を分析したものだと、2018年度に59.4%だった和室の採用例は2022年度には34.6%にまで急減してしまっています。「和室」という囲われた室ではなく、居間の一部などに畳を並べた「畳コーナー」の方は増えていますが、11.4%が14.7%へと微増したに過ぎません。結果として、和室も畳コーナーもない戸建住宅の比率は5年間で28.0%から49.7%へと急増したのです。
 先の住宅支援機構によるフラット35融資案件を対象とした2017年度の調査では、「和室は無い」が50.8%であり、この調査では2018年度で和室の採用率は59.4%なので、断言はできないものの、フラット35融資対象住宅全体よりもこちらの調査が和室が少ないということはなく、むしろ多いかもしれません。この和室採用率が34.6%なので、悲観的になってしまいます。
 そうはいっても、手をこまねいているわけにもいかない、何せ「和室」は何にも代え難い特質がいくつもあり、しかも世界で日本にしかない空間なのです。和室を、あるいは和室の特質を引き継いだものを設計するに足る経験と知識を有する設計者がどれだけいるのか、その育成の問題もありますが、もっと深刻に捉えるべきは職人社会の持続可能性についてです。たとえば、直近の国税調査(2020年)の結果。畳職人の総数はわずか9.000人余。平均寿命は60.1歳。多くの職人が入植する年齢層であるはずの15~19歳の畳職人は全国でわずか10人であります。もちろん大工はもっと多いのですが1980年に90万人を超えていたその数は2020年には29万人余にまで減っており、平均年齢は54.2歳。15~19歳の大工は2.120人
であり、65~69歳が5万人弱であるのと比べると、その異常な少なさは声を失うほどです。左官とて同じような状況である。塗り壁が減少してしまったのも大きな要因です。 こうなってくると、近い将来和室あるいはそれに類するものの需要がそこにあったとしても、またそれを設計できる人材が間に合っていたとしても、それはいったい誰がつくるのかという大きな疑問符が浮かびます。これは、町中華のお店が継承者がいないので消えていく現状とラップしている様を見ると、大きなシステム改革が必要な時期に来てしまったのを感じます。

2025.10.01
日本から和室がなくなる

和室の凄いところは畳の大きさは概ね三尺×六尺、あるいは三尺一寸五分×六尺三寸という具合に地域で決まっています。また「6畳」や「8畳」という時には畳の敷き詰め方は概ね決まりがあり、平面のプロポーションも決まっています。なので、畳の数で誰もが部屋の広さを想像できるし、4畳半と6畳と8畳と10畳の区分けができました。そしてこの平面図を見れば大工はどこに柱が必要か簡単に決められ、それが決まればもう棟梁の加工の仕事に移れるし、畳屋や建具屋、瓦屋などの他の専門職への数量を伴う発注も可能になります。畳二枚で一間四方、一坪になるのですが、木造軸組、畳、建具、瓦は、この一間四方にきちんと対応して納まる寸法体系でできています。だからこそ「6畳の隣が8畳で、その隣に6畳を・・・」というだけで、皆自分の仕事の量と割付が読めるので、施主側の描く簡単な平面図だけで高度な分業が可能になるわけです。設計者はいらないのです。この世界に誇れる「和室」の特質は、畳割と分業の優れたシステムとモデュロールの持つ凄さだけではありません、人々の振る舞いや五感と空間の分かち難い関係性
自然と人工物の絶妙な対象と融合、独自のさまざまな意匠等々枚挙に暇がありません。
それなのにですよ、現代日本の、少なくても住宅からは、「和室」が急速に消えつつあります。
 既存住宅(ストック)についてであれ、新築住宅(フロー)についてであれ、現代の日本の住宅においてどの程度和室が存在するかを正確に示すデータは存在しません。
 新築戸建住宅については、かつて規模の大きな調査がありました。旧住宅金融公庫が自らの融資案件数の1千~1万件を対象に全国で実施した無作為サンプリング調査があります。その結果は毎年「住宅主要データ」として公表されていました。そして、この調査には和室数に関する項目が含まれていました。しかし、残念ながら昭和末期から始まったこの調査は1996年(H8)年度で終了しています。いまとなっては30年ほど前のデータですが少し前の日本の住宅における和室はどうだったかを知るために紐解きますと、調査の始まった1987年(S62)年度は、和室のない新築戸建住宅はわずか1.2%
和室が2室ある住宅が最も多く35.4%、ついで3室ある住宅が23.1%であるから、この時
点で「和室は消えつつある」とは決して言えないのです。その後1996年(H8)年度までのデータを見てみると、年々和室数は減少しているものの、1996年度においても和室のないものは5.4%に過ぎず、2室以上の和室のある住宅が過半に達しています。また、某建設会社の着工した戸建て住宅について単世帯、2階建て全数(年間約6.000~9.000棟)の間取りだけを対象として行った調査の結果報告で、2018年度~2022年度の5年間の変化を分析したものだと、2018年度に59.4%だった和室の採用例は2022年度には34.6%にまで急減してしまっています。「和室」という囲われた室ではなく、居間の一部などに畳を並べた「畳コーナー」の方は増えていますが、11.4%が14.7%へと微増したに過ぎません。結果として、和室も畳コーナーもない戸建住宅の比率は5年間で28.0%から49.7%へと急増したのです。
 先の住宅支援機構によるフラット35融資案件を対象とした2017年度の調査では、「和室は無い」が50.8%であり、この調査では2018年度で和室の採用率は59.4%なので、断言はできないものの、フラット35融資対象住宅全体よりもこちらの調査が和室が少ないということはなく、むしろ多いかもしれません。この和室採用率が34.6%なので、悲観的になってしまいます。
 そうはいっても、手をこまねいているわけにもいかない、何せ「和室」は何にも代え難い特質がいくつもあり、しかも世界で日本にしかない空間なのです。和室を、あるいは和室の特質を引き継いだものを設計するに足る経験と知識を有する設計者がどれだけいるのか、その育成の問題もありますが、もっと深刻に捉えるべきは職人社会の持続可能性についてです。たとえば、直近の国税調査(2020年)の結果。畳職人の総数はわずか9.000人余。平均寿命は60.1歳。多くの職人が入植する年齢層であるはずの15~19歳の畳職人は全国でわずか10人であります。もちろん大工はもっと多いのですが1980年に90万人を超えていたその数は2020年には29万人余にまで減っており、平均年齢は54.2歳。15~19歳の大工は2.120人
であり、65~69歳が5万人弱であるのと比べると、その異常な少なさは声を失うほどです。左官とて同じような状況である。塗り壁が減少してしまったのも大きな要因です。 こうなってくると、近い将来和室あるいはそれに類するものの需要がそこにあったとしても、またそれを設計できる人材が間に合っていたとしても、それはいったい誰がつくるのかという大きな疑問符が浮かびます。これは、町中華のお店が継承者がいないので消えていく現状とラップしている様を見ると、大きなシステム改革が必要な時期に来てしまったのを感じます。

2025.10.01
日本から和室がなくなる

和室の凄いところは畳の大きさは概ね三尺×六尺、あるいは三尺一寸五分×六尺三寸という具合に地域で決まっています。また「6畳」や「8畳」という時には畳の敷き詰め方は概ね決まりがあり、平面のプロポーションも決まっています。なので、畳の数で誰もが部屋の広さを想像できるし、4畳半と6畳と8畳と10畳の区分けができました。そしてこの平面図を見れば大工はどこに柱が必要か簡単に決められ、それが決まればもう棟梁の加工の仕事に移れるし、畳屋や建具屋、瓦屋などの他の専門職への数量を伴う発注も可能になります。畳二枚で一間四方、一坪になるのですが、木造軸組、畳、建具、瓦は、この一間四方にきちんと対応して納まる寸法体系でできています。だからこそ「6畳の隣が8畳で、その隣に6畳を・・・」というだけで、皆自分の仕事の量と割付が読めるので、施主側の描く簡単な平面図だけで高度な分業が可能になるわけです。設計者はいらないのです。この世界に誇れる「和室」の特質は、畳割と分業の優れたシステムとモデュロールの持つ凄さだけではありません、人々の振る舞いや五感と空間の分かち難い関係性
自然と人工物の絶妙な対象と融合、独自のさまざまな意匠等々枚挙に暇がありません。
それなのにですよ、現代日本の、少なくても住宅からは、「和室」が急速に消えつつあります。
 既存住宅(ストック)についてであれ、新築住宅(フロー)についてであれ、現代の日本の住宅においてどの程度和室が存在するかを正確に示すデータは存在しません。
 新築戸建住宅については、かつて規模の大きな調査がありました。旧住宅金融公庫が自らの融資案件数の1千~1万件を対象に全国で実施した無作為サンプリング調査があります。その結果は毎年「住宅主要データ」として公表されていました。そして、この調査には和室数に関する項目が含まれていました。しかし、残念ながら昭和末期から始まったこの調査は1996年(H8)年度で終了しています。いまとなっては30年ほど前のデータですが少し前の日本の住宅における和室はどうだったかを知るために紐解きますと、調査の始まった1987年(S62)年度は、和室のない新築戸建住宅はわずか1.2%
和室が2室ある住宅が最も多く35.4%、ついで3室ある住宅が23.1%であるから、この時
点で「和室は消えつつある」とは決して言えないのです。その後1996年(H8)年度までのデータを見てみると、年々和室数は減少しているものの、1996年度においても和室のないものは5.4%に過ぎず、2室以上の和室のある住宅が過半に達しています。また、某建設会社の着工した戸建て住宅について単世帯、2階建て全数(年間約6.000~9.000棟)の間取りだけを対象として行った調査の結果報告で、2018年度~2022年度の5年間の変化を分析したものだと、2018年度に59.4%だった和室の採用例は2022年度には34.6%にまで急減してしまっています。「和室」という囲われた室ではなく、居間の一部などに畳を並べた「畳コーナー」の方は増えていますが、11.4%が14.7%へと微増したに過ぎません。結果として、和室も畳コーナーもない戸建住宅の比率は5年間で28.0%から49.7%へと急増したのです。
 先の住宅支援機構によるフラット35融資案件を対象とした2017年度の調査では、「和室は無い」が50.8%であり、この調査では2018年度で和室の採用率は59.4%なので、断言はできないものの、フラット35融資対象住宅全体よりもこちらの調査が和室が少ないということはなく、むしろ多いかもしれません。この和室採用率が34.6%なので、悲観的になってしまいます。
 そうはいっても、手をこまねいているわけにもいかない、何せ「和室」は何にも代え難い特質がいくつもあり、しかも世界で日本にしかない空間なのです。和室を、あるいは和室の特質を引き継いだものを設計するに足る経験と知識を有する設計者がどれだけいるのか、その育成の問題もありますが、もっと深刻に捉えるべきは職人社会の持続可能性についてです。たとえば、直近の国税調査(2020年)の結果。畳職人の総数はわずか9.000人余。平均寿命は60.1歳。多くの職人が入植する年齢層であるはずの15~19歳の畳職人は全国でわずか10人であります。もちろん大工はもっと多いのですが1980年に90万人を超えていたその数は2020年には29万人余にまで減っており、平均年齢は54.2歳。15~19歳の大工は2.120人
であり、65~69歳が5万人弱であるのと比べると、その異常な少なさは声を失うほどです。左官とて同じような状況である。塗り壁が減少してしまったのも大きな要因です。 こうなってくると、近い将来和室あるいはそれに類するものの需要がそこにあったとしても、またそれを設計できる人材が間に合っていたとしても、それはいったい誰がつくるのかという大きな疑問符が浮かびます。これは、町中華のお店が継承者がいないので消えていく現状とラップしている様を見ると、大きなシステム改革が必要な時期に来てしまったのを感じます。

2025.9.01
省エネ住宅のポイント

省エネ住宅とは➀住まいの熱を快適にコントロールする。・・・屋根・外壁・窓などの断熱性能に関する基準があります。➁住まいのエネルギーを賢く使う・・・暖冷房、換気、給湯、照明など住宅で使うエネルギー消費量に関する基準があります。
省エネ法の基準適合が義務付けられて、いよいよ新しい住み方を考えなくてはならなくなってしまいました。今まで吹抜けで高天井の開放的な家が目のかたきにされていますが、ちょっと待ってください。空間をあきらめるのではなくて新しい設備が出てきています。たとえば今回お話しするダクトレス熱交換型という換気システムがあります。従来型のダクト式の熱交換換気システムと違い、天井裏に張り巡らせるダクト管やクローゼットほどの広さが必要になってしまう室内機を設置するスペースが不要なため、より自由な設計が可能です。また、ロスナイ(全熱交換器)という換気システムも従来からありますが、熱交換率:93% 温度回収率:80% 消費電力も一般換気はACモーターの為、効率が悪く熱交換をしないので冷暖房費のコストがかかってしまいます。”約24W„一方、セントラル方式はダクトで空気を送るため高い動力が必要となりその分消費電力も拡大します。”約90W„空気抵抗が少ないダクトレス構造と最新のDCモーターを組み合わせた”せせらぎ„は1棟4セット(4台を有効な場所に設置すること)として6.4W 電気代は年間で500~1000円程度となります。省エネ住宅は熱交換換気システムを利用することで大きなポイントとなると思います。いくら断熱材で囲っても、熱交換しながら空気清浄・抗菌・脱臭効果のある高性能フィルターを装備したメンテナンスも容易にでき、ダクト式の換気システムより衛生的にも安心できる方式だと思います。ほかにも完全防水仕様、防風逆流防止屋外フードがあります。これは省エネ住宅の構築にとって大きな力になると思います。

2025.8.01
準防火地域内の準耐火建築物も建蔽率の緩和に!

以前から防火地域内の耐火建築物については、都市計画で定められた建蔽率に10%を加えた数値を建蔽率の上限値とすることができました。しかし、準防火地域に対しての緩和はありませんでした。
 令和元年に改正され、防火地域内だけでなく、準防火地域内の準耐火建築物においても建蔽率の制限を緩和する特例が設けられましたまた、耐火建築物と同等以上の延焼防止建築物と、準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する準延焼防止建築物も特例の対象となりました。これらは、周囲への延焼を防止するために、壁・柱・床その他の建築物の部分および防火設備に必要とされる性能に対して、基準法61条に基づく政令で定める技術的基準に適合する建築物で、同条に規定する構造方法を用いるものまたは同条の規定による認定を受けたものとなります。
※延焼防止建築物
 耐火建築物と同等以上の延焼防止性能をもつ建築物を延焼防止建築物という。
 木造建築物などの場合は、主要構造部の耐火性能の確保や防火設備・消火設備等を設けることで、防火・準防火地域への建築が可能。敷地境界線までの距離に応じて外壁の開口率が定まり用途や規模に応じた構造方法で延焼防止性能が規定される。一例をあげると戸建て住宅の場合は ■外壁・軒裏:75分準耐火構造 ■外壁開口部の防火設備:20分防火設備(両面) ■屋根・階段:準耐火構造 ■屋内:45分準耐火構造となる。(用途によって異なります)

2025.7.01
住宅にも宅配ボックスを!!

ネットショッピングの普及に伴い宅配便の量は近年増大している。古いデータだが2015年の宅配便の総量は1993年度の3倍以上で、再配達の量も激増2015年の荷物受け取り時不在率は23.5%にも達するという。最近ではコロナ過の影響もあり、ますます増大している。宅配業者の負担やエネルギー消費量(排出ガス)も激増の一途である。再配達の発生を減少させるには宅配ボックスの設置が有効であるが、マンションでの普及が進む一方、戸建住宅では認知度そのものが約20%と低い。1992年に宅配ボックスを開発したパナソニックエコリューション社はこうした現状を打開すべく、戸建住宅での宅配ボックスを検証した。
 実証実験の結果について、実証実験を行った市長は「大きな成果が得られました。再配達の増加は全国的な社会問題になっており、この結果がリーディングケースとして全国に知れ渡ることが大きな社会貢献であると考えています。再配達の抑制は将来に向けた持続的な課題であり、補助金制度の導入も検討事項としてあります」と述べた。参加者は「共稼ぎなので、日中に荷物を受け取ることが難しく、配達時間を指定すると自由に外出できず、ストレスを感じていました。宅配ボックスがあればネットショッピングが気楽に楽しめます。市内にはコンビニなどが少なく、日用品を買うにも車での移動を強いられますが、その負担も大幅に減少しました」というポジティブな回答を得られた。
 一方、いくつかの課題も散見された。宅配ボックスが稼働しなかった回数は57回を数えるが、その主な理由は「宅配業者が宅配ボックスに荷物を入れてくれなかった」「宅配ボックス内がいっぱいだった」「冷蔵・冷凍が必要な荷物だった」「荷物のサイズが大きすぎて入らなかった」である。同社は「宅配業者への周知徹底はもちろん、製品自体の改善も検討しなければなりません。冷蔵・冷凍への対応ではパナソニックの冷凍・冷蔵技術を応用できると思います。価格の高さも各方面から指摘されていますが。再配達の問題はメディアでも取り上げられる機会が多く、生産が追い付かないほどの引き合いがあります。量産効率が見込めるため、低価格化は実現できると考えています」と述べた。コロナ問題での需要もあって早急な対応があっての現状だが、まだ戸建住宅への普及率は今一つだが、消費者の認識で郵便ポストと同様の設備であるという認識が一般化されてほしいものです。

2025.6.01
窓に求める性能の重要さを考える

省エネルギー住宅を考えるとき、断熱性能の向上は欠かせません。これらは近年、材料・工法の開発や、施工方法の改良などで格段の進歩を遂げてきました。しかしまだ改善の余地はあります。「温熱環境性能の高い家では、屋内のどこにいても温度が変わりません。頭では分かっていても、その快適さを多くの人はまだ体験していないという事です。」部屋ごとの温度差が大きく、高齢者などがヒートショックを起こす危険性のある家はまだ多いのです。また、断熱・気密が不十分な住宅では、せっかく吹き抜けなどを設けても暖かい空気が上部に留まってしまうので、大きな空間が敬遠されてしまう事実も出てきます。残念ですよね
 「家全体の断熱性能を高めると、これらの問題が解消します。熱の出入りがなければ、建物内部の温度は一定になるからです。温熱環境を整えられれば、本当の意味で自由な空間が生まれます。これは寒冷地だけの問題ではありません。」
 日本ではこれまで、窓に求められる性能が低すぎました。薄いアルミ材とガラス1枚が昨今では断熱性能の向上とスリムな(薄いではなく)フレームによる次世代スタンダードと期待される樹脂とアルミのハイブリッド構造である窓が(株)LIXILから「サーモスⅡ-H」とアルミ構造の「サーモスL」が販売されています。他社も高性能サッシは出てきています。性能とデザイン、コストを総合的に考えると「サーモス」は断熱性能だけでなく、気密性も高い点ではコストパフォーマンスが高いサッシと言えます。
 昨今ではガラス部分でも、Low-Eガラス・遮熱複層ガラス・複層ガラス・トリプルガラス・真空ガラス等々選択の幅も多岐にわたる構成になっています。予算と性能を検討していく上でも選択肢が多いのはありがたいですね。
 東京をはじめとするⅥ地域などの比較的温暖な地域でもこの様なサッシを導入することで温熱環境が向上し、消費エネルギーが極端に抑えられるかの可能性が示唆されます。

2025.5.01
過激な改良工事を防ぐ地盤セカンドオピニオン

基礎の仕様について定めた平成12年建設省告示1347号では、地耐力が20KN/㎡以上30KN/㎡未満の土地について、基礎杭による地盤改良工事を行うか、ベタ基礎とするかのどちらかを選べば良いと規定されています。
 しかし安全を考慮して改良工事の判定が出ることが多く、特に東日本大震災後はその傾向が強くなっているといいます。このような状況下でこそ、地盤の状態を正確に見極め、本当に必要な対策を判断する必要があります。
 そこで注目していただきたいのが地盤調査会社の調査結果を再解析し、第三者の視点から現実的な基礎仕様の提案を行う、地盤ネットの「地盤セカンドオピニオンⓇ」です。
 同社には、20万件以上という膨大なデータ解析から構築した独自の解析技術があり、不同沈下など地盤事故が発生するパターンを熟知しています。地盤改良工事が必要と判断された調査結果を再解析し、地盤補強が本当に必要かどうかを判定することで、過剰な改良工事の削減に貢献しています。
 同社がこれまで依頼を受けた物件のうち、約7割で地盤改良工事は不要という判定結果が出ています。地盤改良工事には50~300万円程度の費用がかかり建築主にとっては大きな負担となります。正確な判断によって、本来は不要である改良工事は避けるべきですね。
 なお、今回の地震による被災地には同社が判定した物件が約900件あったのですが不同沈下による保証事故は発生していない。地盤セカンドオピニオンの判定が妥当であったなによりの証明であると言えるでしょう。
 適切な判断を行うためには、調査の段階で精度の高いデータを入手することが望ましいですが、戸建住宅の地盤調査では、一般的にSWS試験が用いられますが、同社では現在主流の機械式ではなく手動式のSWS試験を推奨しています。「機械式のSWS試験は実際よりも地盤が弱いという判定結果が出るケースがあるため、より正確で精度の高いデータを入手したい場合には、手動式SWS試験が適しているのです。」と同社の社長は話す。
 また、液状化の可能性を判断するには、土質の確認が必要になる。しかし、SWS試験で判定される土質は音や感触からの推定にすぎません。そこで同社では、手動式のSWS試験に加えて、手回しで土を採取するハンドオーガーボウリングの採用を提案している。敷地の四隅で手動式のSWS試験を行うことで不同沈下の判定を行い、さらに一箇所でハンドオーガーボウリング調査を実施することで土質の判定が確実になり、精度の高い地盤判定が出来るようになるのです。調査費用も両方合わせて一般的には安価でできます。損害保険も利用できるので心配なく利用できるのではないでしょうか。

2025.4.01
大改正 建築物省エネ法開始

いよいよ2025年4月以降に工事着手する住宅を含むすべての建築物について、省エネ基準適合が義務付けられます。但し、居室を有しない(生活空間)又は高い開放性を有する(車庫・倉庫等)ことで空気調和設備を設ける必要のないものは適用除外となります。
 省エネルギー基準とは、住宅の場合は外皮性能基準と一次エネルギー消費量基準、非住宅の場合は一次エネルギー消費量基準にそれぞれ適合する必要があります。
 ●外皮性能基準とは、外皮(外壁・窓等)の表面積当たりの熱の損失量(外皮平均熱貫流率)が基準値以下となること。
 ●一次エネルギー消費量基準とは、設備機器等における一次エネルギー消費量(太陽光発電設備等による創エネ量(自家利用分)は控除)が基準値以下となること。
 ※【一次エネルギー消費量の算定対象となる設備機器等】
 空気調和設備(暖冷房設備) 換気設備 照明器具(LED照明)給湯設備 昇降機(非住宅のみ)
 その他の住宅の場合は、太陽光発電・ペアガラス二重サッシ・高効率給湯(エコキュート等)・断熱材・日差しを遮る庇
非住宅の場合は太陽光発電・断熱窓サッシ、ガラス・高効率空調設備・LED照明等
住宅の外皮性能はUA値(ユー・エー値)とηAC値(イータ・エーシー値)により構成されいずれも、地域区分別に規定されている基準値以下となることが必要です。いずれにしても、省エネ基準適合義務制度に係る手続きの多様化に伴う作業量、工事に係る建築材料及び設備機器の工事費は最終的には施主側の工事費というところに負担される事となります。決めるのは政府で負担は国民という、いつものパターンです。
木造住宅 標準計算の例
 基本情報(地域区分・床面積・構成・建物種別・計算に用いたプログラムの種別)
外皮・暖房設備・冷房設備・換気設備・給湯設備・照明設備・太陽光発電設備・太陽熱利用設備・コージェネレーション設備(発電と同時に発生した廃熱を冷暖房や給湯などの熱需要に利用して、エネルギー供給システムの総合熱量を向上させるシステム)このような作業及び計算をして一次エネルギー消費量計算を行う場合、外皮性能や設備機器に係る性能の他、様々な情報を図面などに記載することが必要となります。この様な内容を確認するために、適合義務・適合判定を定められた機関に建築物エネルギー消費性能確保計画を提出することになります。このため、こうじひ・設計費用がどうしても価格に反映されるため、駆け込み申請が昨年暮れから多くなっています。やれやれですね。

2025.3.01
世界を変えた建築

世界を変えた建築とはコルビジェという建築家が1950年代に設計したフランスのロンシャンにある礼拝堂は大々的にコンクリートの打ち放しを用いた建築で有名な作品の一つです。
 スペインの建築家ガウディが設計したバルセロナのサグラダファミリアも2023年日本でもガウディ展が開催されましたが、大盛況に終わりました。様々な困難を乗り越え完成のめどが世紀をまたいで築造されているのです。
 1960年代はウッツオンがコンペティションでオーストラリアのシドニーに設計したオペラハウスはヨットの帆を連想させる美しい形態の建物ですがこれはコンピューターが一般化して建築が可能になったと言われています。
 1990年代以降はフランクゲーリーという建築家もこれはコンピューターを使った設計の建物でスペインのグッケンハイム美術館も大胆な形態を引き出しています。最近では2014年にフランスのパリにフォンダシオン・ルイ・ヴィトン美術館が話題になっているようです。
 1990年代からのコンピューターを使用したCADというシステムで今後の建築の世界建築も変化していきます。しかし我々の住む地球自体が大きな変動の波にどう変わって行くのか、あるいは変えていけるのかが今後の建築の世界にも必要になっているのです。人間が地球に優しく寄り添わなければならないのです。

2025.2.01
住宅等の機械室などの容積不算入に係る認定制度の創設

令和5年4月1日施行される改正法では集合住宅の省エネ化を推進する上で手続の円滑化が求められていること、また、近年当該特例許可において共同住宅などにおける高効率給湯設備に関する許可の実績が一定程度蓄積してきたことから、改正法では、住宅等の機械室等で一定の条件を満たすものについては、建築審査会の同意を不要とする特定行政庁の認定制度が創設されました(法第52条改正)。認定の基準については、以下とされています。(施行規則第10条の4の5(新設))。
 一 その敷地が幅員八メートル以上の道路に接する建築物に設けられるものであること
 二 その敷地面積が千平方メートル以上の建築物に設けられるものであること
 三 当該建築物部分の床面積の合計を住戸数で除して得た面積が二平方メートル以下であること。
 四 当該建築物部分の床面積の合計が建築物の延べ面積の1/50以下であること。
なお、認定の対象となる機械室に設けられる給湯設備等の建築設備は、電気ヒートポンプ給湯機、潜熱回収型給湯機、ハイブリッ ト給湯機、給湯の機能を有する燃料電池設備、給湯の機能を有するコージェネレーション設備である。

2025.1.01
日本の空き家率が世界一の理由

空き家が放置されることのデメリットは大きく、また、多岐にわたります。住宅は経年劣化し空き家となってしまうと加速度的に劣化のスピードは進んでしまいます。換気や採光がされないままの状態が長く続くと、湿気で老朽化が進み周囲の環境も劣化させてしまいます。このままでは、今後空き家がさらに増え続けるのは間違いなく各地で地域のつながりが崩壊し、ゴーストタウン化していく事も避けられないでしょう。これは日本での特殊な現象だということです。
 国別統計専門サイト「グローバルノート」によると2020年のランキングによれば、13.55%で、国土交通省のデーターでは13.6%で空き家の種類別内訳は「賃貸用又は売却用の住宅:59%」などを除いた「その他の住宅:41%」がここ20年で約1.9倍に増加となっています。なお、「その他の住宅」のうち一戸建て(木造)がもっとも多いです。
 日本は2008年から人口減少社会となり、2023年からは世帯数減を迎えると予測されています。住宅市場でいうと空き家が今後右肩上がりに増加していくと指摘されています。また、2025年問題と言われるようにその頃には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、2035年にはその世代が所有していた住宅が中古市場に出回ってくると言われています。
 例えば、空き家に関して言うと、2018年の総務省住宅・土地統計調査によると849万戸、住宅ストックの13.6%が空き家であることは周知のとおりです。売却用・賃貸用・別荘などを除いた利活用のめどが立たないままの「その他の空き家」は349万戸となっています。2018年の住宅・土地統計調査を基にした野沢千絵氏の「空き家予備軍」の調査によると将来はもっと深刻な状況になると示唆しています。現時点で65歳以上の高齢者のみの住む住宅を「空き家予備軍」と定義し、その数を算出しています。その結果によると全国の戸建の空き家予備軍の数は、約829万戸にのぼって、前回の2013年調査に比べて5年間で109万戸、年平均で21.8万戸増加しています。戸建て住宅の総戸数に占める空き家予備軍の割合は、なんと、全国平均で28.8%
4軒に1軒を超える割合になります。
 参考までに首都圏のランキングを見ると2万戸以上の戸建て住宅を有する市町村が対象として関東地方でも、都心から20㎞圏内あるいは30㎞圏内の自治体でも25%を超える値を示していることがわかります。すなわち。空き家は地方圏だけの問題ではなく、私たちのみのまわりのあちこちに点在する事柄となるのです。一方、都市部の分譲マンションの空き家状況に目を向けてみると、2018年のマンション総合調査では、マンション総戸数に占める空き家戸数の割合は、完成年次別でみると古いものほど多くなっています。例えば54年以前のものでは空き家率が総戸数の20%以内になっているマンションが48%を占めています。また、マンションの総戸数に対する所在不明・連絡不通の割合も築年数が古いものほど多くなっています。例えば、所在不明・連絡不通の住戸の割合が20%超のマンションが全体の22%、20%以下のものを含めると合わせて39%となっています。今後、高級マンションではこのような状況の空き家の占める割合が増加してくることを想定すると、戸建て住宅と同様に、マンション管理組合、区分所有者が空き家問題を先送りしないようにするための管理の適正化が問われていると言えます。現状のままだと先行き不安ですね。
 空き家を所有する人たちの空き家の活用意向については、様々な市町村がアンケート調査を行っていますが、その結果を見ると「売却したい」よりも、「現状のまま」「特に決めていない」「わからない」と回答する割合が上回っている市町村が多く、どのような利活用をすべきかさえ、検討されていない現状にあります。前述の野沢氏は、こうした「相続後にとりあえず置いておく空き家」のことを『問題先送り空き家』と称しています。問題先送り空き家は、空き家の所有者である当事者やその近隣住民・自治体が解決の糸口を見い出せないまま、更に時間が経過することが多く、空き家の荒廃化と共に所有者の代替わりなどで事態を悪化させるという空き家問題の根本的最大原因の一つとなっているのです。
 これから、団塊の世代の後期高齢者への移行という人口の高齢化に対する形で生活支援の関連した専門職能、医療福祉・介護といった福祉との関連職能も今以上に期待されてくるでしょうが、人口減少の日本では人手不足になってしまっています。国で外国人看護師研修を見直して、日本以外の国々から手を借りていかないと、この国の未来はあるのでしょうか、空き家対策と合わせて居住者に提供する事の対策を国はもっと検討しないと・・・まずは東京から。

2024.12.01
省エネは「現実的な」熱交換換気システムが有効

省エネは「現実的な」熱交換換気システムが有効
 住宅の省エネルギーを考えるとき、太陽光発電は最も手軽で効果もそれなりに大きい対策ですが、すべての家で最優先されるべき検討事項ではありません。せっかく発電しても、性能の低い住宅ではその大半が冷暖房のエネルギーに費やされてしまいます。根幹となるのは断熱・気密、そして換気です。住宅での換気性能は断熱・気密ほど注目されていませんでした。しかし、住宅内の温度や空気の質、省エネ効果などを考えるとき、換気計画の改善がもたらす効果は非常に大きいのです。なかでも給排気をともに機械式で行う第一種換気は、大きな可能性を秘めています。現状、第一種換気は、オーバースペックと思われがちですが、実はコストを踏まえて考えるとき、使い方次第で省エネに非常に有効な設備となります。特にこれからの省エネルギーを考えると重要です。
 健康には温湿度と同様、空気の質も人体に与える影響は大きいです。いわゆる一時問題となったシックハウス対策として、シックハウス法(24時間換気)が施行されているのもこのためです。ところが、この規定には大きな問題がありました。安価で施工も簡単なことから、ほとんどの住宅で自然給気口と排気ファンによる第三種換気が採用されているのが実情です。(コストがかからない)法規定的には何の問題もないのですが、実はそのほとんどの住宅が、0.5回/hの換気量が確保できていないというのが実情です。
 現在の一般的な木造住宅で特に意識的に気密施工をしない場合、相当隙間面積(C値)は4~5㎝²/㎡程度。このような住宅で前記の
ような第三種換気を採用すると、住宅全体の給気量を100とした場合、自然給気口からの給気量は20%程度しかないと言われます。つまり、現在の多くの木造住宅は、居室にきちんと新鮮な空気が入らない可能性が高いのです。つまり、空気の質という観点から見れば、高気密でない住宅にこそ、新鮮な空気をきちんと供給する第一種換気システムが有効であり、必要でもあるのです。

効率よい冷暖房システムとは
 住宅の冷房の手段はほぼエアコンに限られます。昨今の温暖化による異常な暑さを考えると、建築側で日射遮蔽などの工夫を施しても冷房なしで十分な快適さを得るのは難しいです。エアコンは好むと好まざるとにかかわらず、利用せざるを得ない設備になっています。
 次に暖房を考えてみると、最もローコストなのは冷房と同じエアコンを暖房にも利用することですが、最近のエアコンは非常にエネルギー効率が良いので、断熱性能が高い住宅であれば安い光熱費で十分な暖かさを得られます。ですので建築側でできる限りの対策を行ったうえで、それでも不足する分にはエアコンを利用するということを基本で考えたいですね。家庭用エアコンは、安価、高効率で機器交換も簡単ですが、部屋ごとに設置すると台数が増えてイニシアルコストが増加するうえ、室外機による美観も気になりますし、狭小住宅では設置場所も困難になってきますね。さらに高断熱住宅では、エアコンの能力に対し部屋が小さすぎるために冷暖房効果が悪化するといった問題もあります。
 そういったデメリットを解消する手段として第一種換気システムは重宝します。エアコンの台数を減らした場合、冷暖房された空気を上手に循環させる必要がありますが、エアコンと換気システムの設置場所をうまく設計すれば少ない台数でも住宅全体を適温に保つことが出来るのです。昨今は1階の床下にエアコンを設置して一部吹き抜け空間を利用して空気を上手に循環させる方法を検討された物件も増えてきています。
 
コスト込みで考えて第一種換気は有効 
 住宅の断熱性能を上げる費用対効果は10年ほど前では、➀窓の高断熱化(現在では一般化しました)➁熱交換換気システムシステムの導入(まだ一般的ではないようですね)➂外壁の高断熱化(これもまだ一般的には旧態依然の仕様が多いみたいです。高性能断熱材は高コストが要因か?)という順序でした。ちなみにこれらの3要素で、住宅の熱損失のおよそ8割を占めます。今この時代になって熱交換換気システムを採用する時期に来ているでしょう。電気代・灯油、ガソリン代が高騰してゆく中で効率の良い環境を整えるには、見た目には見えない部分ではありますが生活環境として仕上げの部分よりも最優先に設備投資の方向で考えてみてもらいたいと思います。

2024.11.01
間違いだらけの木材のウソ・ホント

新月伐採のウソとホント
「新月伐採法」とは、樹木を冬季の新月直前に伐採して、谷間に倒して、比較的長期間、林地で葉枯らししておく方法です。
この伐採法が注目されるきっかけになった「木とつきあう知恵」(地湧社)という本の宣伝文句によれば、新月伐採によって生産され
た木材は「腐らない、暴れ・狂いがない、火が燃えつかない」そうです。2000年代初頭に一時話題になりましたが、京都大学の高橋圭司・吉村剛両氏の総説です。
新月伐採方法はその生産工程を見る限り「葉枯らしの一種」でありますので、「辺材部分に部分的に虫害やカビなどが生じにくくなる」という効果は認められることはできるでしょう。また、「柔細胞の働き」によって色がよくなる効果も考えられます。一方で、「樹幹の大部分は死んでいる」ということから考えると、すでに死んでいる細胞が月の満ち引きの影響を受けて燃えにくくなったり
狂わなくなったりするとは考えにくいですね。
 前出の高部・吉村両氏は、新月伐採の効果について科学的な実験を行い。腐朽菌やシロアリに対しての効果はないことを明らかにしています。同時に新月伐採された木材に割れが入ったことも明らかにしています。また、満月と新月にスギを40~50本伐採して、葉枯らし後に含水率やデンプン量を調査し、両者に差がないことを明らかにしています。
 
木酢液はシロアリに効果があるのか 
 シロアリによる建物被害はシロアリにとっての摂食行動です。その強いアゴによって木材繊維をかじり取り、腸内のバクテリアや原生動物によって分解された栄養分を吸収して生息しています。シロアリに食害された建築部材は大きく欠損するため、建物の耐震性にも大きな影響を与えます。したがって、シロアリに強い建物をつくることは、災害防止の観点からも重要な意味を持ちます。
 シロアリ対策として重要なのは、適切な材料を選択することです。しかし、木材という視点では、心材のみ使うことは困難なため、薬剤処理が現実的です。とはいえ天然由来のものはほとんどその効果を期待できないのが実情です。ヒバ油・燻煙処理も木酢液同様、長期間の効果はありません。
 ただし加圧注入材に使われる薬剤はその多くが防腐と防蟻を兼ねているので改めて防蟻用の処理は必要なくなっているのが現状です。

2024.10.01
建築主から入手すべき情報とは・・・

土地の情報
 敷地の形状、大きさ、方位、接道状況など外的な条件に加え、建築基準法やその他の条例などの制限によって、計画する住宅の上限面積が決まってしまいます。また、電気・上下水道・ガスなどのインフラ設備の状況が工事費にも影響してきますので、土地に関する情報は、初回相談時に持参していただきたいと思います。また、土地の購入を検討中の場合は、検討されている情報(不動産情報)を持参されると良いと思います。
 
建て主にとって、家づくりでの関心事
 ひとくちで家づくりと言っても、多岐にわたることを検討し決定していかなければならない。設計者の方は全体にわたりまんべんなく知識を持ち、様々なことを取捨選択し決定していかなければなりません。しかし、建て主は、自分にとっての興味や関心事を、ご自分の家づくりで実現させようとするので、実現可能、不可能は別として、建て主に納得できるまで説明します。
 
現状で考えている予算 
 家づくりに関する予算をどのように見ているか、ある程度項目に分けて説明することが必要です。大きく分けて全体工事費以外に設計料・消費税、さらに既存家屋があれば解体費用や設備関係の引込工事費など、その計画で特別に必要とする費用を概略で説明し、見積りが必要となります。敷地測量も現況での測量(高低測量・真北測定等含む)が必要です。謄本の敷地測量図は古い地形の場合がほとんどで現況と異なっている場合が多いです。

住宅設計の考え方 
 各々の設計事務所で、デザインから技術的な考え方まで。家づくりに対する考え方は大きく違ってくることがあります。建て主がこの違いを理解せずに、単純に自分の希望を叶えて設計してくれる相手として設計依頼をしてしまうと、設計を進める過程で、建て主と設計者との間に溝が生まれてしまうことがあります。建て主は、好みのデザインや希望内容を伝えることが重要で、当事者間(夫婦間)の意思疎通がおろそかになってしまうと、後からもめる原因にもなります。打ち合わせの段階で話し合って意見統一をしてもらうことも重要で大切なこととなります。近年は省エネにかかわる構造・断熱・換気・材料などが大きくかかわりますので、性能と仕様(予算にかかわる問題)も十分話し合うことが必要です。

2024.9.01
基礎設計を考える -2〈正しい基礎設計〉

どんな地盤でもSWS試験を使える?
 スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験は「スクリューウエイト貫入試験」に改称)は、地耐力を簡単に判定できる試験方法としてよく利用されています。平成13年国土交通省・告示第1113号第2は、地耐力を求める方法として、ボーリング調査や標準貫入試験などとともにSWS試験を記載しています。
 SWS試験は、重石を載せたキリ状の棒を回転させて地盤を掘り1mなど一定の深さを掘り下げるのに要した回転数から地盤の固さを計測します。同告示では、試験で得た数値を1m掘り下げるのに必要な回転数に換算し、地耐力を算出する式を定めています。適応範囲はGL-10m~15m程度で5ポイント(敷地の四隅と中央の5点が基本)を測定します。
 
大規模な計画では別の試験方法
 この計算式は一定の条件を満たした地盤を対象とします。SWS試験の場合液状化のおそれがある地盤と、重りを載せただけでキリを回さずに沈んでしまう軟弱な自沈層がある地盤には、実質上この計算式は使えません。
 そのため算定式を用いる際には、まず地盤の種類を確認することが重要です。確認の方法の詳細は日本建築学会の「小規模建築物基礎設計指針」などを参考にしてください。告示の計算式を使えない地盤では、地盤改良や基礎形状の工夫など構造上の対応が求められますので、構造設計者の判断になります。
 なお、SWS試験は方式の性質上、地層の状態や土質、地下水などの情報を得にくいため比較的小規模な建築物のための簡易な方法として使われています。規模の大きい建築物の計画では、ボーリング調査などのように、より有効な地盤調査が必要なのは言うまでもありません。
 
 ●スエーデン式サウンディング試験(SWS試験)では地盤の許容応力度を簡易に算出できる。
  ただし、液状化のおそれがある地盤や自沈層のある地盤には採用できません。

2024.8.01
基礎設計を考える -1〈正しい基礎設計〉

木造住宅の基礎―布基礎とベタ基礎とは?
〈基礎形状は地盤状況で変わる〉
本来、基礎の仕様は上部構造と地盤状況により決定します。
基礎形状は建物重量と地盤支持力の関係で見ると地盤が良好であれば「布基礎」地盤が軟弱であれば「ベタ基礎」で
建物重量を分散する(接地圧を小さくする)。地盤がさらに軟弱であれば地盤補強を行い、「布基礎」でよいことになります。
布基礎の場合は別途防湿措置が必要となります。

この基本を無視して「ベタ基礎が標準」という設計者や施工者が多いのですがこれがだめだというわけではなく、間取りや地盤の状況により基礎形状を選択することが基本ですが。
型枠、鉄筋の種類を減らすなど構造検討を十分に行う前提で、仕様をベタ基礎とすることは問題ありません。基礎形状を統一することで鉄筋や型枠の種類や手間を増やす必要がなくなるので、基礎に合わせて地盤補強を行う考えもあります。ただし硬い地盤ではベタ基礎のメリットは得にくいとも言えます。
硬い地盤の場合は布基礎で考えるのが自然な基礎形状といえます。ただ施工会社の都合によって施されているのも現状です。
地盤調査では地盤判定が行われます。地盤判定とは簡単に言えばその地盤に計画している建物を建てることができるかを判断すること。
建物の重さが地盤を破壊しないか、沈下しないか、液状化は発生しないかを判定し、地盤補強の要否および地盤補強の必要な場合は最適な地盤補強工法の選択を行う。(ここで地盤調査会社と地盤補強会社の関連性が問題視されていることがあります。
同一若しくは関連会社からの進言があっても構造設計者からの意見・判断があることが望ましい)
 
〈布基礎かベタ基礎かの判断〉
地盤調査の結果、地盤が硬い場合、又は地盤が軟弱で地盤補強が必要な場合は、布基礎を検討したいですね。建築基準法:告示1347号では硬い地盤=地盤支持30KN/㎡としていますが30KN/㎡程度の地盤支持力だと、布基礎のフーチング幅が大きくなります。
したがって40KN/㎡以上の支持力があれば「布基礎」としてのコストメリットが出てくるでしょう。
地盤が少し軟弱な場合は、ベタ基礎が望ましい。地盤支持力が20KN/㎡以上で、布基礎の接地圧以下の地盤が目安となります。
もちろん、圧密沈下等の恐れがないことも重要です。
実際にベタ基礎の許容応力度計算では、硬い地盤による地反力は考慮されず、軟弱地盤と同じ地反力による設計となるため、硬い地盤にベタ基礎を採用する場合は、硬い地盤の恩恵を受けることがないので、硬い地盤であれば布基礎のほうが自然な基礎形状といえるのです。

2024.7.01
省エネ法・建築基準法の大改正せまる!

改正前
建築基準法では、原則すべての建築物を対象に、工事着手前の建築確認申請や工事完了後の完了検査等の必要な手続きが設けられています。
その中で、都市計画区域などの区域外における、「三階建て以上かつ延べ床面積500㎡超え」の木造建築物でなければ、建築確認・検査の対象ではありませんでした。(法6条第一項)
また都市計画区域などの区域内において、建築士が設計・工事監理を行って建築される旧4号建築物は、建築確認・検査の対象ですが、審査省略制度(いわゆる「4号特例」)により、構造関係規定などの一部の審査・検査が省略されてきました。
 
改正後
「2階建て以上または延べ床面積200㎡超」の木造建築物等は、「新2号建築物」に該当し、全ての地域で建築確認・検査(大規模の修繕・模様替を含む)が必要となります。
併せて審査省略制度の対象は「平屋建てかつ延べ床面積200㎡以下」の建築物(新3号建築物)に見直されます。※今頃になってか。何十年もかかって、遅い!
本改正は令和7年(2025年)4月に施行予定です。省エネ基準への適合義務化と同時期)
木造
すべての建築物
階数3以上
新2号
階数2以上
新2号
2
新2号
1
新3号
新2号
1
新3号
新2号
床面積
200㎡超▲
500㎡超▲
床面積
200㎡超▲
背景色黄色部分は審査対象 ※一部審査省略あり

2024.6.01
最近の建設傾向

建設業界はコロナの影響でここ数年建設材料の高騰だの人手不足だのさまざまな問題で気分が滅入る状態ばかりが続いています。
ここ近年の動向を、ある会社のデーターを見てみました。
2023年
2022年
木造 (新築)
48%
53%
鉄骨造(新築)
0%
4%
RC造 (新築)
17%
8%
混構造(新築)
8%
6%
リフォーム
27%
29%
昨年と一昨年はあまり変化がないので、10年前の同時期と比較してみました。
木造 (新築)
66%
鉄骨造(新築)
14%
RC造 (新築)
7%
混構造(新築)
0%
リフォーム
13%
という数値になっていました。
これを見ますと、10年前に比べるとリフォームが新築の割合を押してきているようにみえます。また、鉄骨造とRC造の
割合が逆転しています。
工事費の坪単価がほとんど変わらないなら。鉄骨造よりRC造のほうがということもあるのでしょうか。また、構造的にも
木造より鉄骨造。鉄骨造よりRC造という天災などの影響があるのでしょうか。
 最近の省エネ法の関係で木造・鉄骨造・RC造にも、設計仕様によっては各構造との価格差は以前ほど差がなくなってきて
いるのも事実です。

これから計画されるオーナーの方は、商業ベースに乗った商品住宅ではなく、設計事務所など十分相談できるところで検討
されるのがよろしいかと思います。

2024.5.01
四号特例の見直し

改正前
建築基準法では、原則すべての建築物を対象に、工事着手前の建築確認申請や工事完了後の完了検査等の必要な手続きが設けられています。
その中で、都市計画区域などの区域外における、「二階建て以下かつ延べ床面積500㎡以下」の木造建築物などは、建築確認・検査の対象ではありませんでした。(法6条第一項)
また都市計画区域などの区域内において、建築士が設計・工事監理を行って建築される旧4号建築物は、建築確認・検査の対象ですが、審査省略制度(いわゆる「4号特例」)により、構造関係規定などの一部の審査・検査が省略されてきました。
 
改正後
「2階建て以上または延べ床面積200㎡超」の木造建築物等は、「新2号建築物」に該当し、全ての地域で建築確認・検査(大規模の修繕・模様替を含む)が必要となります。
併せて審査省略制度の対象は「平屋建てかつ延べ床面積200㎡以下」の建築物(新3号建築物)に見直されます。※今頃になってですって!何十年もかかって、遅い!
本改正は令和7年(2025年)4月に施行予定です。省エネ基準への適合義務化と同時期)

2024.04.01
省エネを考える!

ガラスとサッシの性能を高める
●ガラスの基本
 単板ガラス:一枚のガラスでできていて、昔の住宅はほとんどで、熱伝導率が高いため(複層ガラスの
 2~3倍以上)結露が起きやすく断熱性に劣っていました。近年の新築で単板ガラスを採用することはほとんど
 ありませんが価格は最も安いです。
Low-E複層ガラス:太陽光や紫外線を抑える機能を持った特殊金属膜でコーティング加工されたガラスを
 使用した複層ガラス(二重ガラス)のこと。
 複層ガラスにLow-E加工を行う場合、基本的には屋外側か室内側の一枚のみ加工を施します。室内側に加工を施
 した場合は室内から逃げていく熱が減り(断熱・日射取得型)屋内側に加工を施した場合は外気や紫外線が室内に
 入るのを防ぐ(日射遮蔽型)となりますが、「日射取得型」と「日射遮蔽型」は機能的には大きな差はありません。
 複層ガラス(二枚)もトリプルガラス(三枚:二枚以上のガラスの間に中間層という空間を設け、乾燥空気や質量
 の重いガスを封入したガラスで、空気の層は熱を遮断する役割を持つので、単板ガラスよりも断熱効果が高く、
 結露がしにくくなります。他にも中間層を真空にした真空ガラスという製品もあります。性能は高いですが価格
 も高いのが残念。
 
 ●サッシの基本
 アルミサッシ:耐久性が高くコストが安い一方、熱伝導率が高いため結露がしやすい
 樹脂サッシ:結露が生じにくく、快適な環境を維持できるが難点は都市部などでは防火性能が必要となる
 ため、使用箇所が限られてしまう。
 アルミ樹脂複合サッシ:屋外側に耐候性(防火性能)の高いアルミ、屋内側に断熱性の高い樹脂を採用した
 複合サッシで、樹脂サッシの難点である防火性能がある防火用サッシの認定を受けているサッシのこと。
 木製サッシ:最も断熱性に優れているが劣化が早い。防火性能が問題であるが徐々に防火認定を受けた
 サッシも出てきていて選択の幅が広がっているが、高価になりやすいのが難点だが普及していけば利用度も期待
 できるのだが・・・

2024.3.01
換気方式の種類と特徴

第一種換気方式
  給気と排気の両方を機械で行う方式。各部屋に必要な給気量と排気量を確保しやすく室内の圧力を
 任意に設定できるので空気の流れを制御しやすい。
 住宅での採用も増えている熱交換器システムもこの方式(ロスナイ等)。窓を開けず気密性が高いまま
 換気ができるため、静音が要求される部屋などに効果的
 第二種換気方式
  給気を換気設備で行い、排気は自然排気とする方式。強制的に外気を取り入れることで、室内の空気
 を追い出し、室内を正圧に保つことが可能になる。一般の住宅では設置はすくなく主にボイラー室など
 の清浄度が求められる部屋に採用される。
 第三種換気方式
  一般の住宅で最も多く採用されている方式。給気を自然吸気とし、排気は換気設備で行う。強制的に
 空気を排出する事で室内を負圧とし、外気を給気口などから取り入れる方式。臭いや湿気が多く発生す
 るトイレや浴室、キッチンなどの局所排気がそれになる。居室で自然吸気を導き、局所排気を行う部屋
 で排気することで効果的な全般排気が可能。また、排気を熱交換型換気システムにすることで、省エネ
 対策にも有効な方式になる。

2024.2.01
外張り断熱工法のメリット&デメリット

■外張り断熱工法のメリット
 断熱効果:建物の外側を断熱材で覆うので、建物内部への断熱効果が高くなり、夏季の熱気・冬季の寒気の影響を
 受けにくく、室内の温度差が夏冬との寒暖差が少なくなり、冷暖房効率も高まるので、冷暖房費が効率よく使用量も抑え
 られる。➡省エネ効果が期待できる
 
 健康:高い断熱性・気密性により、結露が発生しにくい室内環境となり、カビ・ダニの被害が抑えられる。
 ➡喘息やアレルギーに効果が期待できる
 
 柱を断熱材で覆わない:内断熱(充填断熱)では柱と柱の間に断熱材を設置しますが外張り断熱では家の外側を断熱材
 で覆います。そのため、室内側の柱と柱は空間として利用できます。柱が断熱材に覆われることがないので、柱の通気性が
 高くなり腐食などの可能性が低くなり電気配線工事にも有利になります。➡室内空間を広く利用でき建物が長持ちする。
 
 熱橋が少ない:内断熱(充填断熱)のように構造体(柱)で断熱が途切れないため、建物内外側を熱が通り抜ける熱橋が
 非常にすくなくなります。➡断熱性がより高くなる
 
 気密がとりやすい:建物の形状が極端に複雑な場合を除き、建物の外側を断熱材でスッポリと覆うので、建物内部の
 空気が外に漏れにくくなります。➡冷暖房効果が良くなる
 
 断熱材の施工がしやすい:建物の外側からボード状の断熱材を貼るので施工精度を確保してチェックもしやすい
➡高い施工精度で品質の良い住宅になる

断熱材の施工がしやすい:前述したように、室内側の柱と柱の間は空間として残るので、配管や電気配線などの施工がしやすい➡将来の室内リフォームの際に移設などの施工がしやすい

外張り断熱工法のデメリット
建築費用:建物の外側に断熱を施すため、施工工程と断熱材の使用量が増えて建築施工費に反映される➡コストアップ
外壁の安定性:断熱材の外(室内側)に外壁を設置したりする際に断熱材と外壁の固定について経験値のある工務店でないと
外壁のトラブル、又は断熱材の性能が発揮出来ない原因になることもあります。➡どのような木造住宅(S造)でも発生する可能性がありますので、外壁のトラブル発生は深刻な問題になる場合がありますので、信頼のある業者で。

2024.1.01
外断熱と内断熱

外断熱+内断熱工法
昨今、外断熱が省エネに対して有効である事から外断熱工法で金属板に断熱材を張り付けた仕上材+断熱材(型枠で利用)としての外装⁺断熱工法が木造・S造・RC造用など、いくつかのメーカーから出回っています。
木造軸組工法の外断熱は施工が容易というメリットがありますが竣工後、木材が乾燥し柱などが伸縮する場合があります。その伸縮差に断熱材と外装材が合致せず、ヒビやスキマが発生することがあります。
当方が注目するコンクリート壁式構造としてのRC造で建物として外壁をコンクリートの打ち放し仕上げを希望される方に勧められる内外断熱工法(外側断熱のみでも可:北国以外の地域)RC内外断熱工法があります。
外壁側は打ち放し化粧板(仕上も可)を捨て型枠とした無足場工法が可能となり、内部も打ち放し化粧板の2重断熱5層構造体で型枠が仕上材となる高性能住宅になります。(外側断熱工事のみでも可:地域による)

この、RC-ZERO施工の特徴は次のようなメリットがあります。
1.冷暖房費が半減(使用状態による)
2.工事の主要部分を単一職種の多能工が行う事によりローコスト化が実現(通常は多数の職種の人間が作業するので、時間と労力がかかってしまう)
3.木材資源(ベニヤ板型枠等:消耗品)をほとんど使用しない、環境対応技術となる。
4.従来より工期が30%短縮
5.スケルトンで、ほぼ仕上工事まで完成された状態になる(打ち放し化粧板 仕上の場合)平滑面なのでさらに他の内外工事仕上も可能(クロス貼り、塗装仕上等)
6.木造等とは違いコンクリート壁と断熱材の密着度は上がり性能確保が安定します。
 ※上記の工法はRC住宅(株)の特許にかかりますので、ご相談ください。

2023.12.01
構造体に対しての断熱工法

木造の断熱

●軸組工法の場合、グラスウールの充填断熱が最もコスパが高い
●グラスウールなどの繊維系断熱材を用いる場合は、防湿に注意が必要
●躯体を保護するため、断熱材の外側に防水層と通気層を設ける

S(鉄骨)造の断熱

●ALC外壁+現場発泡硬質ウレタンフォームの充填断熱が主流
●熱橋部分(鉄骨部)の断熱補強が必要
●グラスウール充填の施工例は減少の傾向
●外張り断熱はボード状の硬質ウレタンフォームが有効

RC(鉄筋コンクリートの断熱)
●躯体形状が曲面であったり複雑な形状の場合は内断熱(吹付工法)が好適
●室内を打ち放し仕上にしたい場合は、おのずと外断熱工法となる。
●ボード状断熱材の張り付け工法でさらに断熱性能は向上する。
●外断熱は施工がシンプルで躯体の保護にもなるが、費用がかさむ
●外断熱はバルコニーの熱橋対策が必要(下部に居室がある場合)
●ピット部分や地下室の結露対策は重点的に必要

2023.11.01:-住宅を考えるー2

RC造住宅は災害に強く、三世代まで受け継がれる高機能性を持っています。
特に、都市部で優れた耐震性、耐火性を発揮します。
又、家の内外の音も、上下階の音も響きにくい遮音性能を持っています。これは音(生活音など)は壁とか床の厚さではなく重さに比例しますので、質量が大きいほど音を跳ね返す力が強くなる質量測の法則で、コンクリートは遮音性に
有利な材料と言えます。
特に壁構造は地震時などの自然災害にも被害の割合が極めて低かったことで実証されています。
木造でも2'×4'(ツーバイフォー)壁式構造の方が地震などの自然災害にも被害の割合が少なかったのですが、これは多くは古い家屋の壁量が少ない建物が被害を受けたという事もあります。
木造も建築基準法で壁量の検討が必要になっています。軸組在来工法も現在では構造審査が必要となります。これによって2'×4'との強度差の問題もなくなって行くと思います。
もちろんそれぞれの良さはありますので、検討されることで選択肢が広がりますので悩ましいです。
これもまた国策の影響ですかね?
建築基準法及び省エネ法などの改正で外壁断熱及び内外断工事も需要が今後増加することと思われます。
RC壁構造住宅は外断熱工法には外部足場組立設置のスペースが問題で、狭小敷地の場合致命的になるケースがありますが、外壁側の型枠を仕上兼用の特殊な型枠を使用することで敷地境界線に近接した工法がありますので、敷地の有効利用(特に住居系以外の商業地域系などの80%・90%エリアには有利)ができます。
社会情勢に対して様々な選択肢が増えてきていますので十分な検討も必要ですね。

2023.10.01:ー住宅を考えるー1

令和3年の木造建築物の着工面積は全体の83%であると国土交通省の統計で表されています。ウッドショックと言われてから相変わらず木造建築の率は高いのが現状です。これは、建築工事費がS造やRC造と比較すると割安なのも現状としてあります。木造在来工法も、耐震性能や木造二階建て住宅(平屋も含む)の4号特例が2025年に省エネ基準の適合義務とセットで4号特例の範囲が縮小され構造計算が必要になりました。(4号特例はなくなり建築基準法第6条3号平屋の200㎡以下のみとなります)同時にZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)の基準として性能表示制度の耐震等級1相当壁量を1.2~1.25倍にしなくてはなりません。断熱性能の向上の必要もあり、木造もS造やRC造に工事費が近づいてしまいました。朗報としては、準防火地域内の準耐火建築物も建ぺい率の緩和が10%拡大されました。敷地に対しての建築面積が広くとれるようになりましたので、都市部の狭い住宅敷地には朗報になります。(たとえば現在50%の規制がある場所は60%になります)地震等の自然災害に備えて強固な建物にしていく必要も当然ありますが、すべて予算に影響するのも頭の痛いところです。
 東京都は住宅の屋根には太陽光発電システムを義務付けるという話もでています。ますます頭の痛いところです。(補助金の交付はお願いしたいですが、蓄電設備のシステムも合わせて考えていくと難しい問題が山積みです)

2023.9.01:省エネを考える(換気)

「省エネの優遇」

省エネ住宅のポイントとして24時間換気と高断熱住宅の組合せとして、ダクトレス熱交換換気システムを導入することをおすすめします。木造住宅の場合梁を貫通させることが出来ませんので、換気ダクトを梁下に設置すると天井高さが低くなってしまう。あるいは建物全体の高さが高くなることでの様々な規制(道路斜線・北側斜線)をクリアしなくてはならない問題が生じます。また、一般の換気ですとせっかく温めた空気や冷やした空気のロスがありますが、ダクトレス熱交換型換気システムだと新鮮な空気と温度環境が一定に保たれることになります。
 ・省エネ性と価格、音の大きさ、熱交換の効率、操作性を総合的に判断した場合の優位性
 ・家の寿命よりも換気設備の寿命の方が短いため、更新可能な設備(ダクトがないので大がかりな改修工事 にならない)
 ・シンプルな施工で設置できることで施工費やメンテナンス性の軽減
 ・熱交換効率は最大93%で冷暖房費削減効果は最大半分近くにもなります。
 ・高性能フィルターも(標準フィルター)(PM2.5+花粉フィルター)(ウィルス除菌フィルター)
 (ウィルス除菌フィルター+PM2.5)などのフィルターが交換可能
 熱交換換気扇のメリット・デメリット
 メリット
 ・ダクト内の汚れの心配がなくなる(ダクトがない)
 ・部屋によって設置することで換気扇の能力の設定が容易(部屋の大きさに対応)
 ・空気清浄機が不要
 デメリット
 ・ショートサーキットの心配があり、換気が適切にできない恐れがある(設計段階での設置位置の検討)
 ・コストアップ(メーカーにより価格差がある)
 ・手入れの手間が増える(メンテナンスは楽)
 ・故障のリスクが設置台数が多くなる分高くなる(ダクト式の場合はダクト自体の点検清掃は大掛かり)
 
  熱交換型換気システムはオフィスや店舗では従来から採用されていましたが、住宅用のシステムも各メーカーから出ています。ただしダクトを用いるので大型の換気設備を設置するスペースが必要となります。
 一般的には熱交換器を小屋裏に収めるので計画時にその検討が必要になります。小屋裏が難しい場合は収納スペースなどの一部を利用する子供出来ます。フィルターなどのメンテナンスや機器交換などにも配慮しておかなければなりません。そのため、住宅設計には重装備になってしまうのが難点でした。

2023.8.01:断熱等級6にすると冷暖房費の違いは?

省エネ基準レベルから断熱等級6や7を目指す理由は二つあります一つ目は省エネ(冷暖房費の削減)二つ目は快適性の向上(建物の表面温度と室温との差、上下温度差、ともに少なくなる)である。一方で、断熱性能の向上に比例して、家全体の保温性が高まり、温度が均一化する。これを生かした冷暖房方式が、1~2台程度の冷暖房設備で家全体を温める「全館冷暖房」(全館空調)です。ただし、全館空調は快適性や健康面で最も優れている反面、人がいない場所も冷暖房するため、省エネとはいえません。また、家全体の保温性が低いと熱がどんどん外部に逃げてしまい、1~2台程度の冷暖房設備で「全館冷暖房」することはできません。
 したがって、居室を中心に22℃以上の室温を保てるかをシュミレーションしたうえで、断熱性能(断熱等級)や日照条件で最適な冷暖房方式を選定し実際の断熱仕様やコスト、冷暖房費エネルギー消費量、冷暖房費、さらに断熱仕様の費用をどれくらいの年数で回収できるかを算出してみました。結果は冷暖房方式が違っているにもかかわらず、断熱性能が高くなればなるほど冷暖房が下がっていきます。ただし、南面の窓面積が半分になった場合と都市型立地では冷暖房費が高くなっており、日射量の影響がかなり大きいのがわかりました。また、断熱等級が上がるにしたがって冷暖房費が下がっていくのですが、断熱等級6であってもUA値によってかなり差があることも分かりました。断熱仕様の費用をどのくらいの年数で回収できるかについても、断熱仕様の高さがそのままの年数の長さに直結したため、断熱性能が高いほど回収に時間がかかります。これは電気代などの値上げや資材価格の変動によっても変わります。今後の動向にも気になるところでありますので、その時点での再検討も必要です。

2023.7.01:断熱等級6を考えるー2
 【断熱等級6(新設基準)か 断熱等級7にするか】

住宅性能表示制度に創設されたた断熱等級7は、長期的な目標になり得る高い水準に設定されている。2050年まで目標として残ることになるであろう。断熱等級7の住宅を普及させるためにには、もっと性能の高い建材が開発されて定着し、価格もこなれて設計や施工の方法が開発される必要がある。現在は技術革新を促すための基準と考えられる。問題は断熱等級6と7のコスト差をどの様にとらえるかだ。
 
 断熱等級6の仕様とは(グラスウールの場合)
 屋根:14Kor16K  155㎜×2=310㎜
 外壁:20Kor24K  105㎜(外壁は通気工法・内壁のPBは梁まで立ち上げる)
 床:32Kor24K  80㎜
 基礎立上り:押出発泡ポリスチレンフォーム 3bA 50㎜or100㎜
 窓:U値1.6w/㎡・K LOW-E複層ガラス(参考TOSTEM:TW U値1.51w/㎡・K)
 玄関ドア:U値1.6w/㎡・K 断熱ドア
 以上が基準となる仕様例になります。

2023.06.01:断熱等級6考えるー1

そもそも国の旗振りにより、欧米各国で急速に進むカーボンニュートラルへの動きに対して、地球温暖化対策計画が閣議決定され、省エネ基準の適合義務が断熱等級5その後、断熱等級6・7が新設となりました。省エネ性能を判断するのに断熱性能だけでは不十分である。しかし2022年4月に新設された等級6は、低炭素住宅やフラット35SAプランなど、さまざまな優遇措置の基準として運用されており、実質は等級5がデフォルト的な位置づけになっています。一方で、要求される一次エネルギー消費量が省エネ基準の20%削減とかなり低く、断熱等級6・7などと比べるとやや物足りなさが残る。ちなみに、一次エネルギー消費量等級6は省エネ基準の建築物に高効率エコキュートを導入すれば容易に達成できる。逆にいえば、断熱等級6を達成すれば一次エネルギー消費量等級6も達成したことになる。特にエコキュートなどの設備を導入せずに一次エネルギー消費量等級6を達成するには、断熱等級6を目指すのが効率的であると思います。
 断熱等級7はヨーロッパの新築住宅で義務化されつつあるパッシブハウスに近しい性能を持つ「世界標準」の断熱性能で省エネ性能や快適性、健康面でかなり高水準の住空間を達成できるのですが、日本の現状では、等級7は寒冷地から温暖地まで性能差が小さく、トリプルガラス樹脂窓や付加断熱などが必須であり、まだまだハードルが高いものになっています。サッシメーカー等の今後の新商品によってはコストバランスとの兼ね合いになってきます。都市部の防火規制によっては樹脂窓は使用できませんので二重サッシのような処理が必要になるので、防火認定商品の供給も各メーカーに期待するところです。

2023.05.01:二世帯住宅を考える-4

二世帯住宅の"同居„条件緩和へ
地価の高い都市部の場合、「小規模宅地等の特例」を利用できるかどうかで、相続税の納税額が大きく変わる可能性があります。そのグレイゾーンが二世帯住宅でした。子世帯の娘や息子が同居とみなされるかどうかで同制度が利用できるかどうかが決まります。その判断基準はプランにありました。それは、「これまで同居とみなされるためには、室内扉か内部階段で両世帯が自由に行き来できるようになっている必要がありました」つまり、完全分離型のプランの場合同居とはみなされず、子世帯の娘や息子は同制度を利用することができませんでした。
 この判断基準が2013年度の税制改正で大きく変わりました。「基本的に一つの屋根の下であれば、完全分離型のプランであっても同居とみなされる」つまり、完全分離型のプランの二世帯住宅の場合も同制度の対象となりました。この制度は14年1月1日より適用されています。
 これによって、より一層二世帯住宅を検討される方々に普及されていくことと思いますので大いに利用されることをおすすめします。

2023.04.01:省エネ基準の適合義務化になって-2

今回の省エネ法の改正によって2025年には全ての新築住宅に4等級の省エネ基準が義務付けられることになました。
そして2022年以降は、5~7等級の新たな省エネ基準が新設されているのです。(ZEH基準)

省エネ基準の改定で起こり得る格差
◦光熱費の格差
◦断熱性能の差からくる健康面の格差
◦建物の資産価値の格差

省エネ性能の具体的な評価基準
◦省エネ性能の評価基準は「住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準」と「設備機器の一次エネルギー消費量を評価する基準」に分けられます。
◦窓や外壁の断熱材の厚さなど「外皮の熱性能基準」(外気性能基準は地域区分により基準値が異なります)
◦エアコンや冷蔵庫、家電設備など「一次エネルギー消費量の評価基準」

 省エネ基準適合住宅のメリット
◦住宅ローンの金利優遇が大きくなる(金融公庫:フラット35S)新築
 金利Aプラン  金利Bプラン  ZEH〈等級5〉‥‥ゼッチ水準
 予算に余裕のある方は太陽光パネルや蓄電設備を設置するなど省エネ基準の対策としても有利になってきます。
 ※ZEH水準省エネ住宅

令和4年(2022年)税制改正において、従来の等級を上回る「ZEH住宅」が新設されました。ZEH水準省エネ住宅とは高断熱性能をベースとして効率的な設備による「省エネ」と太陽光発電による「創エネ」を組み合わせることで年間の消費エネルギーの収支をゼロに目指した住宅のことを指します。

2023.03.01:省エネ基準の適合義務化になって-1

「省エネ」が盛んに言われていましたが2025年度以降にいよいよ実施に至ります。省エネを図れば、光熱費が単純に安くなると思われているようですが、必ずしもそうでない部分もありますので、そのお話です。
設備機器で言いますと一時騒がれましたオール電化で「エコキュート」もしくは「エコジョーズ」と太陽熱温水器とを組み合わせる場合があります。一次エネルギーの消費量が少ないのは「エコジョーズ」と太陽熱温水器組み合わせになるのですが、経済面でみると逆にオール電化にして「エコキュート」を導入した方がイニシアルコストもランニングコストも安くなります。
建物の場合、断熱・気密性・日射制御といった基本性能を確保したうえで基本的にはエアコンだけです。太陽光発電もこれからの動向では、補助金など有利になる材料もあります。換気も温度と湿度の両方を交換する全熱交換型第一種換気で冷暖房の熱損失負荷が大幅に低減されることになります。現在の住宅で採用が多い自然給気・機械排気の第三種換気ですが、工事が簡単でランニングコストも低いことから主流になっていますが「換気負荷」の大きいのが問題でした。
日本の場合省エネ基準の目安として冬は20℃夏は27℃と言われていますが、冬の20℃を断熱性能の低い家でクリアしようとすると30℃の室温が必要になってしまうので、補助暖房としてホットカーペットやオイルヒーターのような暖房器具を使って局所的に温度を上げなくてはいけなくなってしまっているのです。一方建物の断熱・気密性を上げれば室温は22℃程度でよくなりますのでエアコンだけでも対応できるのです。特に昨今のエアコンはメーカーもどんどん新機種を出しているのでイニシアルコストもランニングコストも高性能になってきていますので省エネと経済性をクリアして快適な生活環境を手に入れることができます。
住宅用の太陽光発電は現在余剰電力を買い取る制度もありますので、最適な条件で使えば10年足らずでイニシアルコストを回収できる場合も出てきます。補助金などを利用できれば、蓄電池を設置できるスペースと予算があれば緊急時の電力供給にもなります。将来的に電気自動車の普及に伴う電力供給の力強い味方にもなるでしょう。

2023.02.01:省エネ基準の義務化、さらなる基準強化、そしてカーボンニュートラルへ

「省エネの優遇」

□ 政府の2050年までにカーボンニュートラル実現の旗振りで、家づくりの優遇制度が大きく変わります。
2025年度以降に戸建て住宅等の小規模建築物の省エネ基準への適合義務化、2030年にはZEH水準への基準引き上げを予定しています。
そして、2022年度から大幅に強化されました。

省エネ要件が大きく変わる優遇制度

□ 税制 住宅ローン減税 今年からZEH水準の省エネ住宅枠を設定
       2024年以降は省エネ基準を満たさない住宅は対象外
    住宅資金特別控除(投資) 今年からZEH水準の省エネ住宅も対象
    
□ 補助金 こどもみらい住宅支援事業:省エネ基準の住宅は6/30で終了。以降ZEH水準または認定住宅のみ対象

      LCCM住宅整備推進事業:今年度よりLCCM住宅補助を単独予算化
      地域型住宅グリーン化事業:10/1以降の交付申請はZEH水準適合が必要
      
□ ローン  フラット35S:今年度よりZEHプランを新設。金利引き下げ幅 拡大
       フラット35:2030年4月以降の設計審査申請分から省エネ基準適合が必須条件となる
          
※省エネ性能の誘導基準はZEH水準に 
優遇制度における省エネ性能の誘導基準はZEH水準であることが明確に位置づけられました。今後はZEH水準以上であることが、より有利な優遇制度を利用する必要条件となってきます。
□ 政府の2050年までにカーボンニュートラル実現の旗振りで、家づくりの優遇制度が大きく変わります。
2025年度以降に戸建て住宅等の小規模建築物の省エネ基準への適合義務化、2030年にはZEH水準への基準引き上げを予定しています。
そして、2022年度から大幅に強化されました。

省エネ要件が大きく変わる優遇制度

□ 税制 住宅ローン減税 今年からZEH水準の省エネ住宅枠を設定
       2024年以降は省エネ基準を満たさない住宅は対象外
    住宅資金特別控除(投資) 今年からZEH水準の省エネ住宅も対象
    
□ 補助金 こどもみらい住宅支援事業:省エネ基準の住宅は6/30で終了。以降ZEH水準または認定住宅のみ対象

      LCCM住宅整備推進事業:今年度よりLCCM住宅補助を単独予算化
      地域型住宅グリーン化事業:10/1以降の交付申請はZEH水準適合が必要
      
□ ローン  フラット35S:今年度よりZEHプランを新設。金利引き下げ幅 拡大
       フラット35:2030年4月以降の設計審査申請分から省エネ基準適合が必須条件となる
          
※省エネ性能の誘導基準はZEH水準に 
優遇制度における省エネ性能の誘導基準はZEH水準であることが明確に位置づけられました。今後はZEH水準以上であることが、より有利な優遇制度を利用する必要条件となってきます。

2023.01.04:自然素材の家

「自然素材の家に使う主な素材」

・無垢材(スギ、ヒノキ、ケヤキ、パイン材、ナラ/オーク材など)防腐、防蟻薬剤を加圧注入処理した軸組材を使用しますが禁止薬物は使われておらず、空気中にも揮発しないので安全です。

・コルクや和紙を内装に使用
・断熱材をウッドファイバー、セルロースファイバー(新聞紙を主な原材料とする断熱材)を使用する(セルロースファイバー繊維は防火用にホウ酸系の薬剤が充填されているが人体に影響を与える量ではありません)
・タイルや石を内装・外装に使う
・レンガやブロックを内装・外装・外構に使う
・その他:シラス壁・珪藻土・漆喰を内装に使う

そもそも自然素材の家とは

自然素材の家とは、化学物質を含んだ素材を使わずに天然の素材を使用して造られた家のことですね。

天然の素材というと、珪藻土・漆喰などの壁材や無垢フローリングなどがあります。

それらの素材を施工する際の接着剤や糊も、化学物質を含んだ素材が含まれない物が理想です。

どこまで自然素材を使うことにこだわるか重要です。
自然素材のメリット・デメリットはもちろんあります。
でも、自然の中にあるものでできた素材ですから、仮に割れたり反ったりしても、修復することができます。
不安を考えすぎず、大らかな気持ちがないと、自然素材とは暮らしていけないかもしれません。

ぼんやりとしたイメージしかない段階であれば、どこまで自然素材にこだわるのか、こだわるポイントを絞っていけば予算内でどこまでできるのか見えてきます。

自然素材の家を建てる夢がある方は、木の香に包まれ、空気がきれいな環境で過ごしたいとか。

お子さんのアトピーに悩んでいて、建材にこだわりたいとか、さまざまな理由があるかと思います。

 ◦木を中心としたデザインの家
 ◦木造軸組(在来工法)の家
 ◦化学物質を極限までに排除した家

 
もう少し具体的になりますと
 ◦工業化製品をできるだけ排除した自然素材で囲まれた快適な空間
 ◦24時間、家じゅう全てのエリアが適温で冷暖房費を抑える
 ◦数年ごとにメンテナンスを必要とする材料を使用しない

自然素材の家づくりを失敗しない重要ポイント

・ご家族が自然素材の性質や使い方などを理解する
・自然素材の取り扱い経験と施工実績が豊富な施工会社を選ぶ

自然素材の家のメリット

・素材の特性を生かして適材適所に使用することで、快適な空間がつくれる(調湿、消臭、防火など)
・正しく施工することで耐久性の高い家になる
・環境にやさしい(少ない環境負荷で製造し、廃棄時は地球に還せる)
・メンテナンスが簡単

自然素材の家のデメリット

・工業化製品を多用した住宅よりも工事費が高い&工期が長くなるのが一般的
・建築業者の選定が経験のある会社になってしまう

2022.11.01/12.01:二世帯住宅を考えるー2・3

二世帯住宅を選択する理由

二世帯住宅を選ぶ理由を考えてみますと、以下のような考えが上がってきます。

◦子育ての力になってあげたい(親)
◦大家族で暮らすほうがなにかと安心 子供にとっても良い(子)
◦広い家に住める(子)
◦経済的である(親) (子)
◦いざというときに安心(親) (子)
◦家に余裕があるのでリフォームすれば二世帯でも住める(親) (子)
◦家が古いので建て替えるなら二世帯もありかも(親) (子)

二世帯住宅を選ぶ本音は?

「選ぶ理由」はどれもよいものばかりです。親は子を、子は親を思い、考えていて多くの人はそうおもっています。でも、親にも子にもそれぞれ「本音」があります。以下のようなことでしょうか。
【子の本音】
◦親の家に住む(家を建て替える)なら、土地代がかからなくて済む
◦保育園の送り迎えを手伝ってもらえる
◦子供が病気など緊急の場合には見てもらえる
◦大きな家だから見た目もよい
◦何かと援助してもらえそう

【親の本音】
◦孫がいつもそばにいてうれしい
◦自分では無理だが子供が家を建て直してくれる
◦若い人がそばにいると安心
◦体が悪くなった時には見てもらえる
上記はあくまで想定のお話ですが、二世帯住宅を考える人がみんな、こんなことを考えているわけではありませんよね。

うまくいかなくなる理由

では、二世帯住宅で出てきやすい不満点を検討してみます。
◦生活音がうるさい。生活の時間帯が違うので音が気になる(親)
◦親が孫を甘やかす(子)
◦お金の負担が不満(親) (子)
◦余計な干渉をされる(子)
◦価値観が違うのに無理やり勧める(親) (子)
◦「うちのやり方はこうだから」と押し付ける(子)
◦自分たちの都合で行動する(親) (子)
◦顔も出さない(親) (子)
もっともっとあるとおもいます。「本音」と合わせて共通しているのは何か?お分かりですか。それは、
『自分視点』もしくは『自分都合』で考えている、ということです。
家ができるまでは、親も子も、自分にとっての楽しみな生活を思い描いています。でも、「二世帯住宅」の暮らしが始まってみると、自分以外の人の暮らしが「そこにある」現実に気付きます。そして、「こんなはずじゃなかった」と思い始めます。
『いったい何がいけなかったのか』
「二世帯住宅」は「二つの世帯」が一緒に住みますが、「二つの世帯」とは「別々の世帯」。はっきりいえば「別々の家族なのです。」親と子であるけれども「別」その認識が足りないのです。子供の家族は「自分たちの暮らし」を作ってきました。彼らには、彼らの暮らし方があります。一方、親は子供達が家を出た後、「夫婦の暮らし方」を試行錯誤しながら作ってきました。子供がいた時とはもう「違う暮らし」が出来上がっているのです。二世帯住宅での同居を考える時親も子供も、別々に暮らすようになってからの期間のことはすっとばし、以前の「家族の形」をつなげてしまうことがあります。親は子供達が独立する以前のままの子供としてみてしまいます。「親の自分が正しい」、「自分の言う通りにすればうまくいく」、「自分達はこうしてきた」。ついつい、このように思い込んでしまうことがあります。そして子供は子供で、親に甘える気持ちがあります。「親なんだからしてくれて当然」と思ってしまったりするのです。
二世帯住宅がうまくいかなくなる根本原因は、親と子が「別々の世帯」であることを理解していない点にあるのです。

二世帯住宅の考え方
 二世帯住宅とは、別々の暮らし方をしてきた二つの家族が、同じ家で生活するのだと考えた方がよいのです。極端な言い方をすれば「知らない家族」と一緒に住むつもりで考えなければならないのです。親も子も、それぞれ独立した別の世帯であることを、理解し、尊重し、認め合うことが必要なのです。また、何事も相手に依存せず、当然と思ってはいけません。相手には都合があることを踏まえるべきです。そして、協力はするけれど、自分を犠牲にしないようにしましょう。「自分の家(土地に)住まわせてやる」「一緒に住んでやっている」「お金を出してるのは自分だ」などと考えていたのでは、理解も尊重もなく「反感」が生まれてしまいます。「具合が悪くなったらみてほしい」(親)、「仕事でどうしてもダメな時は子供をみてほしい」(子)。これはお互い様です。「してくれて当然」という態度では腹が立ちますよね。相手にも都合があるのに「してくれる」のです。「ありがたい」と思わなければ関係が続きません。基本はそれぞれの家族が自立して暮らしていくことです。でも、思いやることをせず、手助けもしてあげない状態だとしたら、「二世帯住宅」である意味がありません。
 やってはいけないこと
 二世帯住宅で暮らす話が持ち上がった場合、やってはいけないことをあげてみます。
 ◦覚悟がないのに二世帯で住むことを決める
 「親に言われたから、一緒に住む」という状況です。二つの自立した家族が助け合わないといけないのに、自分自身が(精神的に)自立していないことになります。これではうまくいきませんね。
 ◦子世帯夫婦が、夫婦間で納得できていないのに、強引に話を進める
 夫、妻、どちらかの親と暮らすことになるにせよ(相手には)覚悟が必要です。それまでの気ままな暮らしではなくなるからです。子供の学校や環境が変わりますし、共働きであれば通勤が大変になることもあります、大きな問題です。それらを含めて考え納得するのがとても重要です。お互い相手の気持ちを聞き思いやることが必要です。
 やるべきこと
 ◦話し合う(親と子、それぞれの夫婦)
 ◦「こうしたいな」という気持ちを遠慮しないで話す。(相手のことを決めつけない)
 ◦暮らし方のルールを作る。
 ◦お金について分担をはっきりさせておく
 やらなければいけないこと
 二世帯住宅の家づくりの際には、仲介者を入れることをおすすめします。それは、設計をまとめる立場の人です。建築会社の営業、工務店の社長など、できれば設計事務所に入ってもらうことをお勧めします。親、子供、建築会社、誰にも利害関係はありません。そういう中立の立場の人で、親にも子供にも等しく話を聞くことができる人がとても重要になります。
 親子だからこそ容赦なく感情をぶつけ合うことがあります。相手を思うからこそ強い言葉も出てしまうこともありますが、冷静な会話ができないと「本当の気持ち」を理解し合うことが困難になることがあります。そこで、仲介者が必要なのです。
 以上のことはすべての家族に当てはまるわけではありません。親子の関係がぎくしゃくしていても、なんとなく納まっている家もあります。話し合うことは絶対に必要ですが、話し合うのも簡単ではありません。完璧なマニアルはありません。完璧を求めず、ひとつひとつ作り上げていくしかありません。ここであきらめると後で後悔することにもなってしまいます。ただ、絶対に必要なのは、お互いが「自立した家族」であることを認めること。
 親は、子供のために生きているのではなく。自分の人生を生きています。子供は、いつまでも小さい頃のままではなく、社会の中で自分の家族とともに生きています。それをお互い「認める」ことなくして、理解は生まれないと思います。ぜひ、笑顔で暮らせるよい家庭を作ってください。

二世帯住宅’’同居,,条件緩和へ

2014年1月1日より相続税の納税額が大きく変わりました。二世帯同居とみなされるためには、室内建具か室内階段で両世帯が自由に行き来できるようになっている必要がありましたが2013年度の税制改正で大きく変わりました。「基本的に1つの屋根の下であれば、完全分離型のプランであっても同居とみなされる」となりました。二世帯住宅の税法上の敷居も低くなり、よりいっそう検討しやすくなりました。

申告を怠ると損をすることも(相続税対策としての準備)

2015年1月から基礎控除額が4割減になりました。この結果地価の高い都市部を中心に相続税の課税対象者は大幅に増えるとみられています。基礎控除額を超えればすべて課税対象になるかというと、そうではありません。評価額を引き下げる特例があります。「特例を適用すれば、申告は必要ですが納税は不要というケースもでてきます。」ただし、特例適用に申告は必須!「特例を使えば課税対象外」と自分で判断して申告を怠ると、特例が使えなくなり損をすることになりますので注意が必要です。不動産に詳しい税理士に相談されることが必要です。

土地評価額が8割減にぜひ活用したい特例

小規模宅地等の特例は、土地の評価額を自宅なら8割減、賃貸なら5割減にできる制度です。15年からは、上限が240㎡から330㎡にひろがりました。この特例の適用を受けることができるのは3つのケースがあります。➀配偶者が相続➁同居している親族が相続➂同居していないが、家を持たない相続➂が適用される親族は俗に「家なき子」と呼ばれる。「家なき子」とみなされるのは、借家や寮にすんでいる場合です。持ち家を人に貸して、自分は借家住まいという人もみなされます。ただし相続開始の3年前から、「家なき子」である必要があります。「母親が一人住まいになったら、兄弟で誰が家を相続するかを話し合って、その人は家を持たないようにするか、持っているなら貸して自分は借家に住むのが有利」という考えもあります。

2022.10.01:二世帯住宅を考える-1

二世帯住宅の呼び名は1975年にヘーベルハウスが提案した商品名だそうです。いまは一般的に使用されていますね。
この時代は上下階完全分離が主流で、外階段からの行き来ができる状態でした。
1990年代になって土地の価格が下がり需要が減りましたが。2009年再度供給数は増加しています。2013年の調査では完全分離型の二世帯住宅を立てた方の9割以上が満足と高い数字になっています。
一方完全同居型の二世帯住宅に住まわれている方は約7割が満足している事が分かりました。
次に二世帯住宅に住まわれている夫婦の離婚率についての調査です。
  
同居していない  離婚を考えている:35%   離婚した:7%
 
妻の両親と同居  離婚を考えている:35%   離婚した:27%
 
夫の両親と同居  離婚を考えている:44%   離婚した:28%という数字になっています。
 
原因として ●趣味が違う ●味の好みが違う

逃げ道がない=同居
対策  キッチンを二か所にする・・・・ストレスが溜まる➡ 最悪の結果 
    分離型の二世帯住宅ににする➡最悪の事態を回避できる
もちろん満足されていらっしゃる方が多いですので全てにおいて簡単なYES・NOだけではないのですが、二世帯住宅のメリット、デメリットを考えて検討されている方には参考にしていただければと思います。もちろん十分な打ち合わせが重要なのは言うまでもありませんが、どの様な住まい方をなさるかは住まわれる方の考え次第です。
お問い合わせ~施工監理まで行います。

お問い合わせ~施工監理まで行います。

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